「長年愛着を持って穿き続けることでパーソナルなアイテムに」そんなストーリーを背景にmù_lab.第4弾

「長年愛着を持って穿き続けることでパーソナルなアイテムに」そんなストーリーを背景にmù_lab.第4弾

通常のmù_のアイテムよりも、木村のユニークなアイデアに深く踏み込んだ実験的な試みとなるmù_lab.(ムーラボ)

今回発表するのは、第4弾となる「CURVED LINE TROUSERS / mù_lab.#004」。

ブランドの中で「キレイめなスラックス」と位置付けて1月に発売したCURVED LINE TROUSERSが経年変化によって異なる表情になり、更にカスタムをすることで、パーソナルなアイテムとなって、また長くワードローブの中に残っていく。

そんなストーリーを思い描きながら作り上げた今回のアイテムではあるが、もちろんただ単純に汚れやダメージを表現してヴィンテージライクにするのではない。
ブランドの世界観に溶け込むように選び抜かれたカラーリングは、もともとのCURVED LINE TROUSERS(カーブドライントラウザース)が持つ上品さを上手く活かしながらも、味のある表情を醸し出しており、これまでのmù_のアイテムはもちろん、今後展開していくアイテムとの親和性にまで思いを馳せた特別なものになっている。

さらに右後ろの裾部分にプリントと刺繍で施されたアートワークは、木村のモノづくりに対する考え方を表現しており、決して強く主張するわけではないが、それとなくパーソナルな雰囲気を纏わせる面白みは、実験的な要素を取り入れるmù_lab.ならではの逸品である。

 

-mù_lab.4弾はどんなアイテム?

木村:1月に発売したCURVED LINE TROUSERSの生地やデザインをベースにして、加工などによって全く違うものに化けさせるというのが、今回のアイテムの考え方になります。


-
生地やデザイン、シルエットなどは全く一緒?

木村:そうです。
もともとのアイテムに加工や手を加えることによっていかに違うものに見せられるかという実験的なアイテムになります。

1月に発売したCURVED LINE TROUSERSはウエストポイントという生地の持つハリや光沢を活かして、キレイめなスラックスを作るというアプローチだったんですが、そのパンツが経年変化によって汚れだったり、アタリだったりといったどこか重みが出てくるような雰囲気を表現しようと思いました。

カーブドライントラウザース/ムーラボ#004 フロント

 

-ヴィンテージライクにする加工をしているのか?

木村:ヴィンテージというと、汚れやダメージといったどこか土臭いようなイメージがあるかもしれませんが、今回はそういう要素は入れていません。
もちろん、経年変化を表現するのに少し汚れているように見えたり、アタリのような雰囲気が出ていたりというのはあるんですが、それはあくまでもこのウエストポイントの持つ上品な光沢感を活かしながらというのが前提にあります。

ヨーロッパの古着に見られるような、もともとはテーラードのアイテムだったけど、長年愛着を持って着続けることで自然とヴィンテージウエアになっていったというストーリーがイメージに近いですね。

 

-それを表現するための色のこだわりは?

もともとのサンドベージュを活かすというところで、この色の上に薄いグレーで製品染めをしています。
単純に汚れてしまった色というよりも、見え方によってどことなく汚れにも見えるという感じですね。

もともと光沢のある生地を柔らかくしているので、その特性を利用してあえて少しムラっぽく見せるために、グレーの色味は物凄くこだわりました。
光の加減もそうですが、合わせるアイテムによってもかなり雰囲気が変わるような、何とも言えない絶妙な色味に仕上がったと思います。

カーブドライントラウザース/ムーラボ#004 ヒップ

 

-カラー以外の特徴は?

木村:右足の裾部分にプリントと刺繍で入れたアートワークですね。

 

-今までブランドでこういったアートワークの表現はなかったが?

木村:mù_lab.なんで、ちょっと実験的な試みというか、遊び心ですかね。

先ほども言いましたが、長年愛着を持って着ていたキレイめなアイテムが自然とヴィンテージのような雰囲気になっていくというストーリーを考えた中で、更にそこに自分で絵を書き込み、よりパーソナルな一着にカスタムすることで、それまでとはまた違った活躍をしてくれるというか。
それによってまた洋服に愛情が湧いていくっていうことを表現できたらなと。

 

-このアートワークの意味は?

木村:これは僕のモノづくりに対する考え方を絵で表したらどうなるかなんてことを考えて書いたもので、もともと商品に入れるつもりではなかったんですが、今回のアイテムを構想しているときにこのアートワークを入れるアイデアを思いつきました。

アートワークのデザイン画

この手でつまんでいるしずくのようなものが、僕のアイデアなんです。
この絵をパッと見た時にしずくを手でつまんでいるようにも見えるし、しずくを落とそうとしているようにも見える。
これがまさに僕が大切にしている足し引きという概念を表していて。

例えば今回のアイテムも、もともとあったものに経年変化を表現するためのアイデアを落としているんですが、それを実現させるためのいろいろな要素の中から汚れやダメージといったハードすぎるものはつまんで抜き取っています。
そうやってアイデアを出したり引いたりすることで、どこかありそうでない洋服を作るというのが僕の考え方。

このアイテムに限らず僕のモノづくりは、素材や資料、自分が過去にやったものも含めて、そういったインスピレーションのもとになるものに対しての足し引きから始まります。

アイデアというとどうしてもプラスの「加える」という作業に目がいきがちですし、実際にアイデアを乗せていく方が簡単だったりもするんですが、今ある要素を取ってしまうという「減らす」というのも重要なアイデアなんです。
その足し引きのバランス、特に引き算というのをこのmù_というブランドでは大切にしています。

 

-単純なプリントではないんですね

木村:プリントだけだと単調になってしまうので、しずくの部分は刺繍で入れています。
プリント自体も色々なテクニックがある中で、より手書きの雰囲気が出るようにこだわりました。
刺繍部分も機械ではなく、手で入れてもらっています。

出来上がったものを一度ほどいて、昔のスカジャンなんかで使用された手振り刺繍というテクニックを使っていて、実は一点一点微妙に個体差があったりします。
こういう日本独特の伝統的な技法を取り入れているのも、このアイテムのとても重要なポイントになりますね。

カーブドライントラウザース/ムーラボ#004 アートワーク

 

-カラーリングもそうだが、アートワークも主張しすぎていない

木村:あくまでもブランドの世界観に入り込ませることが重要なので。
今までのアイテムもそうですが、今後出していく予定のアイテムとの親和性には物凄く注意を払っています。
特に色味に関しては、これまでもグレイッシュブラウンや、スモーキーピンクなどの色を使ってきましたが、そういったカラーとの相性はすごく良いです。

さらに今後ブランドの展開としてカラーというのが一つのポイントになってきます。
それは単純にカラフルにしていくという意味ではなく、mù_という世界観の中で表現する色の展開なんですが、そういったこれから出てくるアイテムとの相性も考えているので、そこも楽しんでもらえたらと思っています。

 

-特に気に入っているポイントは?

木村:色味はすごく気に入っているんですが、特にパッカリングのところのアタリ感。

普通に経年変化をするとパッカリングの山の部分が削られることで色が薄くなってくる。
でもこれは同じように山の部分が薄く、谷の部分が濃くなっているんですが、実は谷の部分に染料が溜まっているので濃く見えていて、山の部分はそのままの生地の色なんです。
ちょっとマニアックかもしれませんが、ちゃんと経年変化のアタリに見えるけれど、普通じゃないっていう自分の狙いが上手く出たと思います。

あとはアートワークですね。
僕のモノづくりへの思いが込められているので、そういった考え方も共感していただけると嬉しいですね。

 

カーブドライントラウザース/ムーラボ#004

CURVED LINE TROUSERS / mù_lab.#004

colour:WASHED SAND BEIGE
size:S/M/L/XL
price:¥41,800

▼商品ページはこちら
CURVED LINE TROUSERS / mù_lab.#004

   返回博客