探していた生地との、思いがけない出会い。<br>ヴィンテージスウェットの独特な色落ちを、ボトムで表現すること。

探していた生地との、思いがけない出会い。
ヴィンテージスウェットの独特な色落ちを、ボトムで表現すること。

生地を見つけたときに、作りたいアイデアが浮かんでくる。
木村にとっての良い生地とは、そんな生地だ。

ただ、作りたいもののイメージが、先に浮かぶこともある。
それを実現させる理想の生地は、木村の頭の中にしかない。なかなか見つからない。
そんな時は、焦って探すことはしない。妥協することもない。
時間がかかっても、見つかるまで探す。
それが木村のスタンスだ。

今回のCLOWN PANTSは、まさに木村の頭の中にあった理想の生地が見つかったために実現した。

信頼する生地屋からの、思わぬ提案で出会った生地。
見つけてしまえば、形にすることを我慢できなかった。
前後のアイテムとのつながりを強く意識する木村にとって、そんな衝動的なモノづくりは、少し珍しい。
これまで作ってきた世界観の中に、赤という色を入れたことも含めて、その考えを聞いた。

 

-木村さんの頭の中にあった、理想の生地とはどんなものですか。

木村:ヴィンテージのスウェットの色落ち感が気になっていて、それを布帛の中で表現できないかな、というところから探し始めました。

ヴィンテージのスウェットは、もともと色を落とすために染めているわけではないんです。
落ちないものを⾧年、普通のボトムより着る頻度も高く、洗濯の回数も多く着て、全体がさっと落ちていく雰囲気です。
デニムだと、膝やヒップ、膝裏など、シワが入りやすくて擦れやすい部分が極端に落ちる。でもスウェットは古着で見ても、肘が極端に落ちているようなことはなくて、全体的にさっと抜けていくんです。
ただ、トップスで作ってしまうと、スウェットパーカーの布帛バージョンになってしまう。
それなら発想を逆転させて、ボトムに持っていこうと思いました。ヴィンテージのスウェットパンツをボトムに持っていったら、どうなるかな、と。
でも、スウェットで作ると、色が落ちるほど、ホームウェアとか部屋着っぽくなってしまう。
布帛で作れば、ハリとコシはある程度残しながら、スウェット独特の力の抜けた雰囲気をボトムに転換できるんじゃないかと思って、生地を探していました。 

 

-その生地とは、どこで出会ったのですか。

木村:見つかった時に作りたいな、見つからなければ見つかるまで、という考え方で、ずっと探していた生地でした。
たまたま広島の福山の方で生地屋さんを回っていたとき、自分の考えている構想を話したら、こういう生地であればその雰囲気が作れるんじゃないか、と提案してもらったんです。それが、理想の生地でした。

そのときは別の生地を探しに行っていたんですけど、完全に気持ちがそっちになってしまって、盛り上がって。
その次の週には、これをどの形に置き換えるか、と考えていました。早く出したい、と。

 

-見つけてから、すぐに形にしたかったのですね。

木村:本当は来年の夏とかに、そういうものが見つかればいいなと思って、じっくりじっくり考える予定だったんです。
それが、作りたい気持ちの方が先に出てしまって、先にこの生地を使ってしまえ、というような感じで。見つかった時に、もう夏まで自分の気持ちが待てないなと思いました。
もともと、このパンツで何かやりたいというのも、今年中にはあったんです。
だから、自分の熱量が高いうちに、持っていた構想の方にこの生地を入れ込みました。

 

-前回のシャツに続いて、フェード感のあるアイテムですね。

木村:とりあえずシャツからスタートして、受注で取っていたデニムが10月にお客様の手元に届いて、という流れの中で、少しハードに洗いが入ったものが続いています。

ハードには洗っているけれど、カジュアル感やヴィンテージ感がものすごく強いかというと、そうではなくて、きれいめなんだけど、色が抜けることで力が抜けている。
そういう表現で、ヴィンテージ感を出したいんです。

ブランドの世界観が持つ柔らかさと上品さは、必ず軸に置いたうえで、古着っぽいテイストをどう昇華させるか。前のシャツもそうですけど、考え方はブレずに、今までよりも少しハードに洗ったものを表現する。その2発目が、このクラウンパンツです。

 

-その生地を、クラウンパンツに入れた理由を教えてください。

木村:別のパンツでもいいかな、とも思っていたんです。ただ、新しい形に挑戦するより、素材の面白みの部分で見せたいと思いました。  

自分の中で出来上がっている形に、この素材を入れ込む方がいいな、と。
クラウンパンツは、ブランドの中に幅を持たせたいと思って、ローンチからやっているパンツです。素材によって形の雰囲気が変わるし、パターンもピエロのような少し風変わりな形です。
そこにこの生地を入れたら、ルーズになりすぎない、上品な中でスウェットがボトムに移行したような雰囲気が作れるんじゃないかと思ったんです。

 

-色の落ち方は、どう作っているのですか。

木村:生地に加工は、特にしていないんです。普通のツイル素材に、この染料で染めています。
インディゴに近い性質の染料なので、糸の芯まで染まりきらずに白が残る。それで、ごそっと落ちるというより、徐々にフェードしたような落ち方になります。
そこから、最終、製品の洗い方をどうするか、というところが大きいですね。
通常より薬品や石を使って、ハードに洗って、全体の色をさっと落とします。それと同時に、石で削られたような、要所要所のフェード感も入れる。
全体は落ちているんだけど、立体的に色が落ちている状態です。洗いで変化を持たせるテクニックです。

 

-これまでの世界観の中に、赤を入れたのはなぜですか。

木村:黒から染め込んだものや、カーキで古着っぽくミリタリーに見せる方法もあるとは思いました。
ただそうすると、スウェットから派生しているという部分が弱くなる。
色落ちした雰囲気がいいなと思う色を2色作りたくて、まず一つがグレー。もう一つ、クラウンパンツに合う色を考えたとき、よりスウェットっぽさが出るのは赤じゃないかと思って。あえて、ちょっと冒険のカラーではあるんですけど、赤を入れ込んでいます。

難しい色を考えるとき、前のアウトサイドプリーツの白もそうですけど、必ず考えるのは、赤いパンツが好きな人にどうアプローチするか、ではなくて、普段はかないという先入観やポリシーがある人たちに、どう届くか、なんです。
はかないという概念を捨てられる赤ってどんなものだろう、と考える。はかない人たちの心をどうすれば揺さぶれるか、面白くできるか。
はかない人たちのことを想像しながら、色ものは考えることが多いんです。
自分も赤いパンツは、普段はかないんですけど、だから逆に着たいなと思うというか。お客様にも、それを楽しんでいただけるカラーになればいいな、と思っています。

 

-グレーも、ただのグレーではない色ですね。

木村:元々はチャコールです。
うちのオリジナルのカラーではないんですが、この染料自体が、濃度を出しにくい染料なんです。深いグレーとか、すごく濃いブラックは出しにくい。
なので、チャコールといっても、本当に黒に近い、墨黒くらいの色に染めている色になるんですけど、その染料ならではの雰囲気が出てきます。
黒から落としたグレーではなくて、もともとグレーのものが色褪せた雰囲気にしたかったんです。

 

-いろいろなコーディネートが楽しめそうですね。

木村:コーディネートによって、これも化けていくと思います。きれいなものを合わせれば、優しい中に色褪せ感があるものに見えるだろうし、古着っぽく合わせれば、ヴィンテージのスウェットっぽさが強調される。
逆に、今までうちが出してきた上品なアイテムとうまく合わせてもらうことで、コーディネートの幅が広がるんじゃないかなと思います。

 

CLOWN PANTS

colour:SECOND HAND RED/SECOND HAND GREY
size:M/L/XL
price:¥39,600

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